アタック南東北24耐後編

あぁばかばかしい、などといいつつも、一度走り出したらやめられないのが旅人のそして車を愛してやまないクレイジードライバーの性だ。
前日裏磐梯の道の駅に到着し、およそ1.5時間ほど仮眠したら、すぐに喜多方にくりだす。もちろんラーメンを食べるためだ。前回は喜多方市外の渋滞を嫌気して郊外の店に行ったが、今回、たまたま通りかかった店は、なんと!またしても同じ店だった。”赤レンガ”である。店が赤レンガでできているのである。つい最近横浜に行ったばっかりであるが、こちらのレンガはおしゃれさのかけらもない。周りは全部田んぼである。農家の子供だろうか、軽トラの二台にのっかってこっちを見ているがきがいた。ま、ラーメン自体は550円にしてはいいね、程度のものだった。確かに素朴な旨さがある。これは水の旨さも関係しているだろう。どんぶりに臭みがないのである。臭みがあるから薬を入れてしびれさすのである。化学調味料とはそういうもので、個人的には消費者への配慮だと思っている。都会の水は、全ての料理のベースとなるそれであるが、どうしてもだめだ。都会の水で洗われた、あるいは煮炊きに使われた道具は偏見かもしれないが、すべからく都会の味に染まってしまう。(偏見だろ!)んでまぁ、そういういみで、本当に素朴でほっとする一杯だった。今や喜多方なんてラーメンのほうが有名なくらいの小都市だろうが、だからこそ普段自分たちが食べてるあれは、実はこれなんか・・・見たいな感慨もある。

ちなみに市街地も通過したが、市街地にも店は多く、駐車場もそれなりにあったので、あえて郊外に行かなくても普通に食事できたのかもしれない。

その後田子倉湖を目指す。これは福島県新潟県の県境を流れる、只見川沿いに作られた人造湖、いわゆるダム湖である。その立地から冬は雪に埋もれてしまう。今回はそのダムを通り抜け新潟県に抜けたが、たとえばJR田子倉駅。何もない。一日上り3本、くだり2本、スノーシェルターから歩いていけるところに人家は見当たらない、どころか、次の駅との間に人家は見当たらない。駅は半地下形式でスノーシェルターに守られた上に、強固にふたをされている。最初に見たときはいったいどこに線路があるのか疑問に思ったもんだ。

で、新潟県の小出から人造湖奥只見湖を目指す。目指す峠は枝折峠。交通量がある割には道幅は僅少でありブラインドコーナーも多いので3ナンバーはとにかく苦労する。バーニングアスファルト+バーニングタイヤである。枝折峠の眺望は文句なくすばらしく、思わず日本万歳!と心で叫ぶほど。が、あえて先を急ぎ、奥只見湖から尾瀬に抜ける。この只見湖沿いの道はとにかく時間がかかる。ほとんど高度は変わらないのだが、トリッキーにツイストしている上にところどころ沢を逃がすためのくぼ地になっており、そこは水が流れている。ここでスリップするようだと、ちょうどないすタイミングでガードレースがなくなっているために湖へ片道ダイブとなってしまう。

そんなプレッシャーをはねのけるとようやく尾瀬。紅葉が迫ってくるあまりに見事で、言葉を失う。紅葉、なんて言葉、人間が定義していいものだろうか。むしろ”この目の前の現象”に定義が必要だろうかって!頼むよホント!だがこのあたりから逆に寒くなりはじめる。昼間は暑いくらいだったのにねぇ。この高低が大切らしい。んが、能書きは恐ろしいほど自然そのものであったあの現場にあるのみであり、森を見て木を見なかった今までを反省。

その後のルートに多いに迷うが、それもつかの間、睡魔に襲われ一回休み。飛び起きたときにはおそらくまた1.5時間ほど経過していただろうか、起きた瞬間なぜか明日までに家に帰れない?と錯覚(寝ぼけていたのかも)し猛プッシュ。限界までプッシュしきって全走車に追いつき無事クールダウン。懐かしい塩原温泉街を抜け、R4に入ってからは取り立ててペースをあげることもなくほぼ80をキープして巡航、境で流山街道に転進し、松戸でラーメン屋によってそれでも11時前には家につくことができた(駐車場からの歩きも込み)。

トータルで25時間、1100km、使ったガソリン100リットル(推定)であった。

なお、この半紙を友人にしたら”ありえない””ワープだ”などとお褒めの言葉をいただいた。が、それはよくよく考えるとぜんぜん褒めていないことには気づかないほうが幸せなこともあるという事実で締めくくりたい。