九州遠征二日目

朝起きると体が重い。疲労がこびりついた感じ。やっぱ夜走るのはきついよなーと思いつつ準備。朝市で周防天満宮に。結構由緒正しい神社らしく巫女さんがウロウロしていた。そして本殿?ではなにやらお祈りをしているような雰囲気。遠めに眺めて帰ってきたが、何気に有名なのかもしれない。近くにある周防国分寺をたずねる。神社にお寺になんでもありなのはさすがに日本だ。この神社も1300年あまりの歴史があるようで、つまり日本仏教の初期の寺院と。奈良と一緒ということか。結構立派なところだったがこちらは無人のようだった。
さて、特に予定があるわけでもないが(いつもそうじゃないか!)、とりあえずここまで北からには九州を目指したかった。だって山口だよ?しかし周防から再度高速に乗って九州に、っていうともはや観光は出来ない。たまにはちょっとくらい観光してもいいんじゃないかな、と言うことで目的をいくつか決めた。

1.九州上陸
2.吉田松陰神社に参拝
3.津和野の日本で唯一マリアが光臨したらしい場所に行く

まず1のために下関を目指す。が、そこは高速乗ったらあっという間、下道で地道に進む。もといため池があれば休憩し、山口宇部道路があれば用がないのに乗ってみて、なんとなくこっちかな、で道を選び、それでも下関についてしまうのだから驚きだ。上陸は関門トンネルだ。100円を払って入るが、ETCにできないの?これ。トンネルは入り口からカーブしもぐっていく。出口もカーブして登っていく。途中は、まあ、バイクだと壁に山口とか福岡県とか書いてあるようだが危険なのであまり見ていなかった。ちぇ。トンネルを出ると九州感が漂う。もちろん思い込みだ。まずはということで門司港の辺りを散策。展望台に上って見る。関門海峡がきれいに見下ろせる。晴れ渡った空、隣で別の人のガイドがアレが巌流島です、と説明している。武蔵と小次郎が戦ったあれだが、それよりも操車場がNゲージみたいでちょっとおもしろかった。操車場を見下ろせる場所って少ないのでは?隣でこれまた一般人が大正っぽいレトロな洋館の屋根の形が複雑だと言っている。確かに面白い形をしている。下からは見えないのにね。
展望台から降り、跳ね上げ桟橋の上を歩いたり洋館を眺めたりするがナニか物足りない。ふとみると「ちゃんらー」という怪しい食べ物を紹介していた。ちゃんぽんでもない、ラーメンでもない、といっているが、麺はちゃんぽんだ。スープはうどんでつかうだし汁で、これにラー油がういている。ゴマとわかめがかすかに健康に気を使っていると言えなくもないが間違いなくジャンクフードだ。1杯400円なり。食べ終わると下関フェリー乗り場に行く。しかしバイクは乗せられないと。自転車と人だけらしい。小倉まで行けばバイクが乗れるフェリーもあるらしいが、時間の都合上面倒なのでパスだ。関門トンネルをもう一度くぐって本州ただいま!
下関市街はパス、というより雑然としたたたずまいで古くからの町であることがわかる。新興都市の場合にはもっとわかりやすいつくりになっているもんだ。とりあえず萩に向かって走り出す。しかしナビもなく看板便りの適当な旅路。よくわからん県道でも多分こっちのほうだろうとあてずっぽうに走り看板に出くわすのを待つ。無事にR191にめぐりあう。そこをすたすたと走りだす。海沿いの景色は素晴らしい。エメラルドグリーンの遠浅の海岸。しかし夏に繁盛しそうな雰囲気でもないのはどうしてだろう。途中本州最西端の看板を見つける。ユーターンして進路変更。そして毘沙門の鼻という最西端に到達した。てっきり九州が見えるのかと思ったら見えるのは大海原に浮かぶ島がひとつ。なんでも万葉集にも歌われた有名なしまらしいのだが。
気を取り直して萩まで。これが遠い。海岸線は快走路なのでストレスはすくなく楽しめたが時間が。萩の中心街は武家屋敷。有料駐車場にバイクを止め武家屋敷を歩く。板塀のつづくとおりと白壁のとおりが交互にある。これはなんで?高杉晋作伊藤博文が一緒に勉強した寺に行ってみる。どちらにも何の感慨もないが、この寺は神社も併設されている。昔はどこもこうだったらしいが神仏分離で廃寺になることが多かった中天皇家にゆかりがあったので見逃してもらえた、らしい。1km四方から大臣が何人も輩出されるのも、政府の大政策からめこぼされるのにも一種異様さがあって気持ち悪い感じがした。まあ全く個人的な見解なのだが。残念なのは松蔭神社ちょっと離れているらしいこと。がっかりしてバイクにもどり料金所に行くとバイクは無料とのこと。最初に言ってくれよ。なんじゃそれ。で、その松蔭神社、しかし距離的には2,3kmという程度だった。多分修学旅行で来た。たぶんというのはほとんど覚えていないからだ。あと萩城にも行った気がするが正直これも覚えていない。きっとその場所に行けば思い出すのかもしれないが・・・当時は吉田松陰なんてテストの点数を取る道具でしかなかったから素通りしてしまったんだろう。勉強のための勉強というのは本当にむなしいものだ。そして今回は松下村塾の跡地もしっかり見学し神社に参拝、思い残すことなく萩を後にした。いや、ちょっとちがうな、ひょっとしたらここはまた戻ってくるのかもしれない。
日暮れまでそれほど時間がなく、観光地なので時間ですよでクローズされたらかなわないと急いで津和野を目指す。県道をたどっていくのだが本当にこの道でいいのか不安な箇所を走ること1時間あまり、道の駅津和野に到着。ここで情報収集すればいいものの、略図だけ確認して大急ぎでマリア聖堂へ。しかし見事に迷子に。細い路地に手書きの看板を見つけた時にはかなりうれしかった。砂利の駐車場にびくびくしながら隼をとめ、石段を上っていくとせせらぎが流れている。なんじゃこりゃ、こんなにいいところをみたことがないとビビリながら3分でその聖堂に到着。ちかいよ!実はこの場所自体、駅から歩いてこれる程度の距離しかない。津和野は本当にコンパクトなまちなのだ。聖堂は山の谷間にひっそりとたたずんでいた。5,6人の観光客とすれちがったが日陰のくぼ地には俺一人。聖堂に足を踏み入れると少し暗い教会には椅子とフレスコ画?が。なんというか、バチカンに行った時ですらキリスト教になんら感慨を抱くことはなかったが背景を理解してから来ると何か違う気がした。しかし本当に狭い聖堂だ。外に出て写真を撮ると確かにガイドブックには乗っていたが、それでおしまいだな、と思い、説明文を読む。日本で唯一マリアが光臨した、と言うことの意味は、ここで殉教したキリシタンの安太郎さんが拷問で殺される前に、夜な夜なマリアに似た人をみた、と語っていたから、ということらしい。その光景が像になっている。このあたりに写真があったり。http://4travel.jp/traveler/godzilla/album/10191615/
で、その像を眺めていたら、周りから笑い声がしてくるではないか。それも一箇所ではなく何十箇所から。最初はどこかにスピーカーでも備えつけてあるのかな、変な演出だな、と思って聞いていたがどうも様子が違う。スピーカーなんてない。これはにはもう度肝を抜かれ軽く錯乱状態になってしまった。疲れていたんだろうか?よくみると土の斜面には穴がいくつか開いており直接姿は見えないがカエルかなにかがいるのだろう。しかし間違いなくアレは人の笑い声だった。少なくとも自分にとっては。すいませんすいません馬鹿にしてすいませんと謝りつつあとずさると日暮れの谷間はちょっと不気味なものがある。ましてやそこは殉教の地。まあ場から悪意のようなものは不思議と感じず、恐怖というよりはむしろなんとなく聖母マリアを信じる人の気持ちが少しわかった気がした。実際にいるとかいないとかではなく、その人が信じているという意味で。
その後津和野の道の駅まで戻り、風呂に入りご飯を食べる。気に入ったのがあかね雲というレストラン。津和野の郷土料理うずめめしもおいしかったが気に入ったのはその名前。あかね雲。すごいフレーズじゃないか。よくそれを店の名前ににしたな、という。
おなかが膨れると夕暮れのR9をひた走る。今日の予定は浜田道から中国道経由で多賀まで戻るというもの。この近くで泊まってしまうと日曜日がきついかなということで。とりあえずミッションの3つは完了したし。
浜田道は片側一車線で日が暮れてから走るのはあまり楽しいとはいえない道だった。まあ、悪くはない。新しい道らしく舗装はいいし。ただどうしても寒い。しかたなく当初予定だった中国道を諦め広島まで出ることにした。もちろん予定外の遠回りだ。しかし山陽に出てもあまり暖かくはならず我慢の走りに。寒さと疲労がピークに達したのは日付が変ってしばらくしてから。こともあろうに西宮名塩での給油をスキップしたのだ。となると次は草津なのだがこのときにはそれに気づかず、草津も以前名阪に戻りたかったのに新名神に戻らされた苦い思い出がありスキップ、こうなると残量警告がつくのは自然な話で、計算では400kmはいけるはず、だけどタンクは19リッター、ガス欠も多いにありうる、給油の時きっちり入れられていたかというとその保証もないし、と葛藤を繰り返す日々。そこで下した決断は”よし!ガス欠覚悟で行ってみよう”というもの。頭おかしい。そして実際八日市ICの出口でプレッシャーに負けて流出。ゲートから見える程度の距離にあるGSで給油するとトンボ帰りして流入、多賀を目指す。多賀までは結局10km程度、いけたような木もするし、駄目だったような気もするし。ま、ペナルティ1000円ということで、1000円惜しければこまめに給油しましょうと。
多賀に着いたのはもう3時近く。過酷過ぎる。これで休憩断られたら・・・と思ったがあっさりOK。あれ?と思い仮眠室に入ると空きが目立つ。アレアレアレと思うまもなく横になってZzz。疲れた!