涙の大型合格

朝は寝坊せずに卒業検定に臨む。この一行だけでも気合の入り具合がわかろうもんだが、実際のところ乗車順1番の表示を見たときには動転し、狼狽し、危うく逝きかけたのはここだけの秘密だ。一周のウォームアップの後本検定だが、始まる前に教官から、無駄なことせずにいつもどおりにやれよ、といわれる。え、俺ウォームアップ中に何かアレなことをしたかな!と冷や汗が流れる。
平常心平常心と自分に言い聞かせ、右折二回して波状路。コレが完璧。ちょっと自信。だがこの時点であまりの緊張と集中により胃が逆流しそうな気持ち悪さに。しかしここで止まるわけにはいかない!と自分に鞭打ち、再び右、ここで教官からは指導が入る。優先道路側にいる自分は左側から直進しようとする車よりも優先なのだ。しまったすっかり忘れてた。しかし気を取り直して左、実はこの二週目の右左を練習では何度も飛ばしてしまっていたのだ。ましてこんなタイミングで注意されたらきっと一ヶ月前の自分ならばここでミスコースしてジ・エンドだったろう。さらに左。この一時停止からの左折の大回りをもう何度となく指摘されていたので今度こそ注意深く小回り。そして坂道発進。下って右折。車が来ないのはうれしいのだが、どうもギクシャク。加速して右によりポンピングブレーキ、右折、左折S字。この時点でヤバイバイクのフィーリングが良くないと冷や汗が20%増量する。そして運転を50%慎重にする。右折踏み切り、左折、ここで迷惑にも左折待ちの教習車に行く手を阻まれるが華麗にウィンカーを出し後方確認して先行。さらにウィンカーを出してクランク、左に出て右、そして今度は教習車が譲ってくれようとパッシングしているではないか!ぬは!イレギュラーなことはやめてくれ!!とさらに冷や汗を増量し、スラロームに。この時点で冷や汗はマックスだ。呼吸は肩で息をしないと間に合わない。一本橋はとにかく落ちないようにしたが、やっぱりまた早かったかも。そして急制動だけは完璧、余裕を持って止まれた。ぐるりと廻って信号通過。右ウィンカーの出したタイミングがどこらへんから出せていたかかなり不安になる。とまあ、不安要素満載でフィニッシュとなった。しかし待ち時間があるより1番手のほうがある意味楽かもしれない。重圧からの開放感は最高だった。

結果待ちの間にコンビニに行きGooBikeを買って隼の在庫のある多摩地区の最寄の店をピックアップ。もちろんこの時点で合格は決まっていない。なにやってんだ俺。待合室に戻るとしていた教室には見たことない人がいっぱい。あれ、まさかコンビニ行ってる間に終わっちゃったのかと本日の焦り最高潮に達するが程なく名前を呼ばれて別室で合格を告げられる。もう若干の放心状態でフラフラと卒業式会場に向おうとすると検定教官に呼び止められ、全般的によかったよ、といわれた。ありがとうございます!と直角におじぎをしてしまった。直角にしたのなんてどれほどぶりだろう。実はこの教官中免の検定と同じ教官でそのときは俺がいかにバイクを扱えていないかについて厳しく叱責されたのだった。みんなが大型体験乗車をさせてもらってるときに俺一人説教部屋で起こられている絵をいったら!しかしもうそんなことは過去の話だ。真面目に練習に取り組み教官に認められて二輪最高峰の免許を手にしたのだ。

卒業式を終えるとその足で吉祥寺に向かい隼のムックを探すも新書も古本もなし。がっくし。じゃあもうぶっつけで本物見ようってことでGooBikeに掲載されていた吉祥寺のとあるチェーン店に向ったのだった。しかしその隼はあっさりと売り切れ。店員に聞くと割安だからとのこと。ふーんこの不況にとも思ったがバイクは趣味の乗り物、それも魂の乗り物であるから、ほしいときにはたとえ自分の飯が食えなくても買うんだろう。が、営業マンはグループ店から取り寄せられるからといって色々見せてくれた。最初に紹介されたバイクはなんと商談中でキャンセル、次に紹介されたのは・・・赤黒でした。赤黒好きだなおれ!っていうか運命を感じる。結局借り押さえして翌日店まで運んでもらうことになった。

次にナップスに向い、シューズを物色。当初は妥協してelfの安い全天候型を選ぼうとしたが、冷静に考えるとそれじゃ隼につりあわない。きちんとしたものを買わなくては!と店員を捕まえてアドバイスをもらいながらアルパインスターのSMX-2の44のレッドを、実は在庫がなかったので取り寄せてもらい注文。決め手は、アルパインスターは靴というよりもプロテクターのようなもので、何より安全性を重視してるんですよ、という店員の一言だった。安全じゃないとね!しかしクシタニのグローブもコミネのレザージャケットも在庫なし。がっくし。