恒例温泉旅行

乗鞍高原鈴蘭を見下ろす坂の高台にある瀟洒なロッジ渓山荘に毎年夏の終わりに訪れている。
高原特有の澄んだ空気と平地の暑さを忘れる涼やかな風が吹き抜ける木漏れ日の庭は日常のしがらみを忘れさせてくれるのに十分だった、

、とか書くと何かハイソな雰囲気だが実際のところ翌日が乗鞍ヒルクライムで選手として走るのでなければここは間違いなく天国に一番近い場所だろう。もてなし、温泉、部屋、食事、その全てが洗練され素朴ながら心がこもっている。
 だが明日のレースを控えもくもくと準備をし心を落ち着かせて時が過ぎるのを待った。まるで書道家が渾身の一筆をしたためる前に硯と向き合うかのごとく。
 しかし、ある意味、これも天国に一番近い時間の過ごし方なのかもしれない。