迷う翼は風が支えよ 

困っている人を見かけたら助けてあげよう 

できそうでなかなかできないこの簡単な事を初めて知ったのはオートバイに乗ってからだった。

当時運転免許で乗れた2st50ccのボロイ車体は振動が激しくてナンバープレートのネジがひとつゆるんで外れてしまっていたらしい、自分では気づかなかったのだが、ふと信号で止まった時にオフ車に乗ったアンちゃんはすっと隣に寄ってきて、バイザーを上げ、取れそうだよって教えてくれたのだ。それ以来いろんなところでライダーのアンちゃんおよびネェちゃんには助けられてきたが、そうやって助けられるうちに自分も自然に人を助けるようになってくるのに気づく。

隼でオートバイの世界に戻ってからはや2年、結構辛いこともあったけどというより辛いことばかりだったがそれでもまだ乗っていられるのはちっぽけで不安定なくせにパワーウェイトレシオはポルシェを凌ぐマグネシウムのごとく眩く燃えるバイクにのっているからだろうかと思っていた。
けど実際にはその性能だけという意味じゃなく、むき出しで危険な乗り物なのにエンジンが付いてるからあっという間に大変なところまでいってしまう、だからこそ多くの助けを必要とし、その分他の誰かを助けられる、そういう環境に自らを置くという事が大切なんだなと5万キロを経て気づく。

今年も昨年の冨澤祥也に続いてマルコの悲しい事故がありレースファンのライダーにとって困難な年だったがマルコの追悼が賑やかだった事にずいぶんと救われた。来年もだから隼を再び羽ばたかせようと思う。